ヘッドホンやイヤホンを使い、大きな音量で音楽などを聞き続けることにより、音を伝える役割をしている有毛細胞が徐々に壊れて難聴になる方が増えています。少しずつ進行していくために初期には自覚しにくく、とはいえ失った聴覚は戻りません・・・今回はそんなヘッドホン難聴(騒音性難聴)について、はかたみち耳鼻咽喉科の宮地先生にお話を伺ってきました。
(記者)宮地先生、ヘッドホン難聴(騒音性難聴)って初めて聞くのですがどんな病気ですか?
(宮地先生)まず騒音とは、好ましくない音、望ましくない音すべての総称です。しかし、好ましい音と思って聞いている音楽でも、大きな音量で聞き続けると、音を伝える役割をしている有毛細胞が徐々に壊れて難聴を起こすんですよ。
WHO(世界保健機関)は、携帯型音楽プレイヤーやスマートフォンで音楽を聴く際の安全でないイヤホン使用により、11億人の10代の若者に難聴を生じるリスクがあると警笛を鳴らしております。
そんな大きな音を聴き続けることによって生じる難聴を一般的に「騒音性(または音響性)難聴」といいます。騒音性難聴は85デシベル(dB)以上の大きな音を長時間、長期間にわたって聞き続けることが原因で生じます。
(記者)具体的にどれくらいの大きな音?、どれくらいの時間聞き続けたら騒音性難聴になるのでしょうか?
(宮地先生)下の表は、WHOが定める1日当たりの音圧レベルの許容基準と、目安となる音の種類です(参考資料:一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会「Hear well, Enjoy Life」)。怖がりすぎてはいけませんが、身近な音に騒音性難聴のリスクがあることが分かったと思います。
また、ヘッドホンやイヤホンは耳の中に直接音が入るため、周囲に音漏れするほどの大きな音で聞いていたり、長時間聴き続けたりすると、騒音性(または音響性)難聴のリスクが高まります。
WHOは、ヘッドホンやイヤホンで音楽などを聴くときには、耳の健康を守るために、
・音量を下げたり、連続して聞かず休憩をはさむ、
・使用を1日1時間未満に制限する、
・周囲の騒音を低減する「ノイズキャンセリング機能」のついたヘッドホン・イヤホンを選ぶ
ことを推奨しております(参考資料:WHO HP「Make Listening Safe」、厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト「ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)について」)。
(記者)最近は多くの人がヘッドホンなどで音楽などを聞く機会が多いですよね・・。
(宮地先生)はい。今後は出来るだけ、大きすぎる音量で聞かない!長時間連続して聞かない!定期的に耳を休ませる!などの予防が重要となりますのでお気をつけ下さい。何かあればお気軽にご相談くださいね。